診断士ゼミナールとスタディングはどっちがいい?テキストと価格で徹底比較!

中小企業診断士

中小企業診断士の通信講座を探していると、必ずと言っていいほど比較されるのが「診断士ゼミナール(レボ)」と「スタディング」の2社です。

どちらも「5万円前後」という業界最安値クラスの価格設定で魅力的ですが、「安さ」だけで選ぶと後悔することをご存知でしょうか?

実は、この2社は「テキストの仕様」や「翌年以降の費用」といった見えにくい部分で真逆の性質を持っています。

今回は、実際に診断士ゼミナールを受講していた筆者が、受講生の視点から両者を忖度なしで徹底比較します。公式サイトには載っていない「リアルな使い勝手」や「隠れたコスト」まで深掘りしますので、ぜひ講座選びの参考にしてください。


結論:迷ったらどっち?30秒でわかる選び方

診断士ゼミナールとスタディングは、どちらも素晴らしい講座ですが、向いている人のタイプがはっきりと分かれます。一言で言えば、「じっくり安心・紙派」なら診断士ゼミナール「サクサク効率・スマホ派」ならスタディングが正解です。以下の基準で、ご自身がどちらに近いかチェックしてみてください。

診断士ゼミナール(レボ)がおすすめな人

診断士ゼミナールが向いているのは、「腰を据えて確実に合格を目指したい人」です。具体的には以下のような方におすすめです。

  • 「3年間」の保険が欲しい人:中小企業診断士は難関資格です。「もし今年落ちたら、来年の受講料はどうしよう…」という不安を抱えたくない人には、追加料金なしで最大3年間受講できるこの講座一択です。
  • 記述式(2次)の添削を受けたい人:独学では対策が難しい2次試験。回数や問題は決まっていますが、プロの講師による添削指導がついているのは大きなメリットです。

スタディングがおすすめな人

一方で、スタディングが向いているのは、「徹底的に効率を重視する現代っ子タイプ」です。

  • スマホ完結で効率重視の人:「机に向かう時間は取れない。通勤電車や家事の合間だけで勉強したい」という方には、スマホUIに特化したスタディングが最強の武器になります。
  • AI機能を活用したい人:「今日は何を勉強すればいい?」と迷いたくない人には、AIが学習計画や復習タイミングを自動管理してくれる機能が刺さります。
  • 「広く浅く」高速回転させたい人:深い理解よりも、まずは全範囲をさらっと回して、合格ラインギリギリでもいいから最短で受かりたいという戦略の方に向いています。

講師対決:「創業社長」の綾部氏 vs 「熱血専任」の松永氏

講義のスタイルだけでなく、誰が教えているかも大きな違いがあります。

  • スタディング(講師:綾部 貴淑 氏)
    • 実はスタディングの講師は、運営会社(KIYOラーニング)の代表取締役である綾部氏ご本人が務めています。
    • 「学習をシステム化して効率化する」という会社の理念そのものを体現したような、ロジカルで無駄のない解説が特徴です。ビジネスマンとしての成功者から学べるという点でも人気があります。
  • 診断士ゼミナール(講師:松永 氏)
    • 一方、レボの松永氏は、長年受験指導に特化してきた「職人肌」の専任講師です。一部講座は小野氏が担当します。
    • 受験生がつまずきやすいポイントを知り尽くしており、時には泥臭く、熱っぽく語りかけるスタイルは、孤独な通信学習のメンタル維持にも役立ちます。

【比較表】機能とスペックの決定的違い

両者の主な違いを一目でわかるようにまとめました。

項目診断士ゼミナール(レボ)スタディング
基本価格(税込)54,780円(税込)(1次2次試験フルコース)約5〜6万円(コース・時期による)
受講期間3年間受講延長無料1年間(翌年は更新料が必要)
テキストPDF標準(フルカラー印刷OPあり)WEBテキスト(冊子は別売)
講義動画1単元が充実(じっくり解説)1動画数分のマイクロ講義
質問対応回数無制限・無料チケット制(有料・回数制限あり)
2次試験対策添削指導あり自己採点・AI活用

【価格比較】表面上の安さに騙されるな!「隠れたコスト」を暴く

両講座とも表面上の価格は「5万円前後」と拮抗していますが、実は「2年目以降にかかる費用」に雲泥の差があります。中小企業診断士試験は合格まで平均1,000時間かかると言われており、複数年計画になることも珍しくありません。長期的なコストパフォーマンスを見極めることが重要です。

基本料金とキャンペーン:実は互角?

基本料金だけを見ると、両者とも非常に安価です。

  • 診断士ゼミナール: 定価は高めに設定されていますが、ほぼ通年でキャンペーンを実施しており、実質5万円台前半で受講可能です。
  • スタディング: ミニマムコースで48,400円(税込)。スタンダードコース59,400円、パーフェクトコース通常価格74,800円(1/31まで特別価格59,900円!)。

導入コストに関しては「どちらも大手予備校(20万円〜)に比べれば破格」と言え、大きな差はありません。

診断士ゼミナール最強の武器「3年間受講延長無料」とは

診断士ゼミナール最大の特徴にして最強のメリットが、「3年間受講延長無料制度」です。

たとえば、1年目の試験で惜しくも不合格だった場合、他社の通信講座では翌年もまた数万円の受講料を払って再契約する必要があります。しかし、診断士ゼミナールなら追加料金0円で、最新の講義動画やテキストを使って学習を継続できます。

「1発合格するつもりだから関係ない」と思うかもしれませんが、仕事が忙しくて勉強できなかったり、科目合格制度を使って2年計画に変更したりするケースは多々あります。この制度は、精神的なプレッシャーを大幅に軽減してくれる「最強の保険」と言えるでしょう。

スタディングの注意点:更新版とQ&Aチケットの追加費用

スタディングは初期費用こそ安いですが、オプションや継続時に「隠れたコスト」が発生しやすい点に注意が必要です。

具体的には、翌年も受講する場合は「更新版」の購入が必要です(定価の半額程度になることが多いですが、それでも数万円の出費です)また、学習中の疑問点を講師に質問したい場合、スタディングでは「Q&Aチケット」を購入する必要があります(コースにより数回分付属することもあります)。

これに対し、診断士ゼミナールは「質問回数無制限・無料」です。「わからないところは何度でも聞きたい」というタイプの方にとっては、トータルコストで大きな差がつきます。


【テキスト比較】紙で勉強したい派はどっちを選ぶべき?

勉強のしやすさに直結するのが「テキスト」です。最近はペーパーレス学習も流行っていますが、やはり「紙のテキストがないと頭に入らない」という方は多いはずです。ここでは、両者のテキスト事情を深掘りします。

テキストオプション比較:安さのスタディング vs 質の診断士ゼミナール

両講座とも紙のテキストは「有料オプション」ですが、その価格と中身には決定的な違いがあります。

  • スタディング(冊子版オプション:約14,900円)
    • 価格は安いですが、スタディング自体が「60点を取る」というスタンスなため網羅性にやや不安があります。
    • 学習マップは完全に好みが分かれます。フルカラーなのは評価点ですがサンプルを見て自分に必要かを決めるのがいいでしょう。
  • 診断士ゼミナール(製本版オプション:約23,980円)
    • 価格は高いですが、フルカラーかつ市販の教科書に近いレイアウトで、図解や文章の解説が充実しています。「辞書代わり」として長く使うなら、価格差以上の価値があります。

結論: 「補助教材」として安く欲しいならスタディング、「メインテキスト」としてガッツリ書き込みたいなら診断士ゼミナールが良いでしょう。

【診断士ゼミナールの実際のテキストはこんな感じです】

診断士ゼミナール テキスト 2022年度版
診断士ゼミナール テキスト 2022年度版 厚み
テキストの厚み。ページ数にすると約
診断士ゼミナール テキスト 2022年度版運営管理
筆者が受講していた2022年度版のテキスト(運営管理)。文字ばかりではなく図解が多用されているので、視覚的に理解しやすいのが特徴です。

【講義・カリキュラム比較】「深さ」のレボ vs 「効率」のスタディング

動画講義のスタイルも、両者は対照的です。「泥臭くても深く理解させる」か、「AIを使って効率的に回す」か。好みが分かれるポイントです。

診断士ゼミナール:松永講師の「熱血講義」と質問無制限の安心感

診断士ゼミナールの講義は、名物講師である松永先生による「理解重視」の解説が特徴です。

単に用語を暗記させるのではなく、「なぜそうなるのか?」という背景から説明してくれるため、応用力が身につきます。話し方はややゆっくりで丁寧なため、初学者は安心ですが、慣れてきたら「1.5倍速〜2倍速」で再生するのがおすすめです。倍速にするとテンポが良く、時短学習にもなります。

また、前述の通り「質問回数が無制限」なのも大きな特徴。独学でつまずきがちな財務・会計などの計算問題も、納得いくまで質問できるのは、大手予備校並みの手厚さと言えます。

2次試験対策:添削はあるが「自由度」に注意

2次試験(筆記)対策において、診断士ゼミナールには「添削指導」が含まれています。自分の書いた答案をプロに見てもらえるのは貴重な機会です。

ただし、注意点もあります。それは、「添削対象となるのは、講座側がセレクトした過去問のみ」であることです。「自分が解いた最新年度の過去問を見てほしい」「模試の答案を見てほしい」といったリクエストには対応していません。

【筆者の体験談:2次対策のリアル】

正直なところ、診断士ゼミナールだけでは中小企業診断士の2次試験を攻略するにはやや不安。

診断士ゼミナールでは講師と一緒に設問を読んでから与件文を読むというスタイルになっているのですが、実際の試験では80分のマネジメントが大切。診断士ゼミナールオンリーだとなかなかこれが身に付きにくいです。そのため、2次試験については診断士ゼミナールだけというよりも他の教材の併用が前提になりがち。

また、そもそも講座内でも他のテキスト(TACの2次試験過去問題集)も併用することを勧めています。それに加えて2次試験のバイブルでもある「ふぞろい」シリーズも利用することをおススメ。2次試験は模範解答が公開されない試験であり、予備校によって解答が異なります。各予備校や書籍の内容を比べてみた方がいいと思います。

あと診断士ゼミナールだけでは事例Ⅳ対策が不足しがちなので、「30日間完成」か「全知全ノウ」も利用した方がいいでしょう。

私はスタディングは受講していないのでスタディングの2次対策についてはわからない部分も多いですが、スタディングも似たようなものだと思います。中小企業診断士の2次試験自体がそういうものなので。

スタディング:隙間時間に特化した「AI学習」と「マイクロ講義」

スタディングの講義は、1動画が5分〜10分程度に細分化された「マイクロラーニング」形式です。

「電車の待ち時間」「お湯が沸くまでの時間」といった極小のスキマ時間を勉強に変えることができるのが最大の強みです。また、独自の「AI学習プラン」機能が、あなたの実力に合わせて「今日はこの問題を復習しましょう」と提案してくれるため、学習管理の手間がいりません。

ただし、解説は「効率」を最優先しているため、難解な理論の説明などはあっさりしていることがあります。「なぜ?」を深く追求したいタイプの人には、少し物足りなさを感じるかもしれません。

2次試験対策:スタディングのAI機能は「必須」か?

スタディングの「AI実力スコア」や「スマート添削」は確かに画期的ですが、最新の事情を含めて検討する必要があります。

  • 「無料AI添削」の台頭による優位性の変化
  • 「人間」に見てもらう価値
    • そう考えると、診断士ゼミナールの「プロ講師による個別添削」の価値が相対的に上がります。AIにはまだ難しい「文脈のニュアンス」や「採点者に好まれる書き方」を人間から学べるのは、依然として大きな強みです。

ただ、「AI復習機能」は非常に有用。AIが最適なタイミングで復習問題を自動出題する画期的な機能です。私は行政書士試験はスタディングを利用したのですが、この機能にはお世話になりました。どの問題を復習するかを自分で決めなくて済むので非常にありがたかったです。

診断士ゼミナールの弱点:模試がない(外部受験が必須)

診断士ゼミナールのデメリットとして、「カリキュラムに模擬試験(模試)が含まれていない」点が挙げられます。

本番の予行演習として模試は必須です。そのため、診断士ゼミナール受講生は、TACやLECなどの大手予備校が実施する公開模試を別途申し込む必要があります。

一方、スタディングにはパーフェクトコースであれば「合格模試」が標準で組み込まれているため、この手間と追加費用がかかりません。「模試代」まで含めてトータルコストを比較するのが賢い選び方です。

ただ、スタディングの模試は1次のみであり、2次の模試は別途必要なのは診断士ゼミナールと一緒。あとスタディングの模試は難易度がやや低めなので、「模擬試験」というより理解度チェックというスタンスで受けた方がいいかもしれません。私は2025年スタディング模試の財務・会計で88点を取りましたが、「合格ラインをやや下回っています」の評価でした(笑)平均点が70点を超えるような模試はちょっとね…

スタディングの弱点:コース選びの難しさ

スタディングはコースがミニマム、スタンダード、パーフェクトの3コースあります。「どれが自分に最適か」を見抜くのは難しいかもしれません。

ただ、1/31までの期間限定でパーフェクトコースが通常価格 74,800円のところ、14,900円OFFの59,900円で受講できます。スタンダードコースは59,400円なのでほとんど変わりません。キャンペーン期間中なら48,400円のミニマムコースにするかパーフェクトコースにするかのほぼ2択でしょう。

あとは診断士ゼミナールと違って2次試験対策だけ受けたい場合でも「2次試験だけのコース」は販売していません(診断士ゼミナールは2次試験コース27,280円で受講可能)。

【筆者の体験談】私が診断士ゼミナールを選んだ「本当の理由」

最後に、私が3年前に数ある講座の中から診断士ゼミナールを選んだ決定的な理由をお話しします。 それは「圧倒的な金銭的メリット(リスクのなさ)」でした。当時はキャンペーンで紙のテキストが2科目分貰えたという点もあります。

具体的には

  1. 合格お祝い金が「3万円」も貰える
    • スタディング(当時1万円程度)に比べて圧倒的に高額でした。
  2. 不合格でも「2万円返金」という驚きの保証があった
    • 「落ちてもお金が戻ってくるなら」と背中を押されました。一応返金に条件はありますが、それほど厳しい条件ではありません。
  3. ダメでも「3年間受講延長無料」

「受かったら祝い金、落ちても返金か延長で低リスク」。 この「圧倒的なコストパフォーマンスの良さ」が、受験勉強へのプレッシャーを軽くしてくれたのは間違いありません。

▼ もし「今」申し込むならどうするか? 正直、今はスタディングのAI機能も魅力的です。しかし、前述した通り「無料のAIツール」も出てきている現状を踏まえると、あえて高いコースを選ばず、「診断士ゼミナール + 無料AIツール + 外部模試+ふぞろい等の追加テキスト」という組み合わせが、コストと質のバランスが最も良い「賢い戦略」だと私は思います。


まとめ:あなたの学習スタイルに合うのはこっち!

【診断士ゼミナール(レボ)を選ぶべき人】

  • 「金銭的リスク」を極限まで減らしたい人(お祝い金・返金制度)
  • 「紙のテキスト」を使ってじっくり理解したい人
  • 「人による添削」や質問無制限の手厚いサポートが欲しい人

【スタディングを選ぶべき人】

  • 机に向かう時間がなく、「スマホ完結」で合格を狙いたい人
  • 「AI機能」を使って、学習計画や復習を効率化したい人
  • 模試の申し込みなどが面倒で、「オールインワン」で済ませたい人

最終的な決断は、あなたが学習に対して「安心と手堅さ(診断士ゼミナール)」を求めるか、「スマートさと効率(スタディング)」を求めるかという価値観の選択になります。

どちらも独学に比べれば遥かに合格確率は高まります。ぜひ自分に合った講座を選んで、中小企業診断士への第一歩を踏み出してください。

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